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ラフィネブラスバンド - 上級者への道(後編)の巻 Diff

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 例えば、自分がチューバ吹きとして、革命的に上達したのはブラスバンドと出会い、チューバでもポコポコハイトーンや速いパッセージを吹くのをやったり聴いたりして、あたりまえにできる幅が広がったことと、同時期にロジャー・ボボのCDを聴いて明るい音色に出会ったことでした(と思う)。自分はなんて小さなところで止まっていたんだと思いました。でも僕は、この時はそれほど努力してなかったなあー。おそらく、中高生時代に一生懸命になってやった”貯金”のようなものがあって、自分の土台がいい具合でできていたからかなと思いました。”昔は”超真面目だったのでそのいいところがでたなあ、という感じです。

 今回の仕事では、後輩が窓口で助けを求めてきて僕が代わって対応したのですが、対応してみれば、その後輩でもなんとかできるような内容だったのですが、あまりに最初から逃げ腰であったため、頭にきて”いつまでたってもできるようにならないぞ!”という風に少々きつく言ったんです。その後からは、バシバシ積極的に対応しようと頑張っているような感じに見えました。それほで出来がよくなっているわけではありませんが、この調子なら、すぐに一人前にやっていけるでしょう。その後輩にとってみれば、僕の喝!が”きっかけ”になって出来るようになるかもしれません。半分以上分からないことなのに、最も厳しい窓口へあえて立ち、挑戦し、やってやるという気持ちで頑張れることが重要なことなのです。まあ、その後輩の弱腰になる気持ちも困惑する気持ちも分かります。わからんかったら、結局助けてもらわなきゃならんし、お客さんを怒らせてこじれてしまっては大変だし、嫌なもんですよ、最初の頃は。

 だがしかし、ぬるく、優しく過ごしていて、世の厳しい風に対応できるわけがないのですよ!周りの人に最初のうちは迷惑をかけてでも、自分が出来るようにならねばイカンのです、職場の一員として仕事をこなすために(世の中は迷惑のかけあいみたいなものですよ)。

そのくらいの図々しさみたいなものを、申し訳なくもだして、頑張らないかんのです。トータルな視点から見れば(上司的立場から見れば)、たいした迷惑でもないですよね。一人前になるためにみんなが通る道だし、むしろ近道だと思うのです。みなさんの中で、上手くなりたいとか、あんなふうになりたいという気持ちがありながら、そのうちなんとかなる位の気持ちで日々過ごしているのならば、そういうぬるい気持ちのうちは絶対に!上達しないと思います(少ーしずつはするでしょうが)。自分の尻を自分で叩かなくてはならないのです。時間がいつのまにか過ぎているほど夢中になってやらねばならないのです!しかし、自分で自分を叱咤激励し変えていくのはすごく難しいことです。ですから、印象的な他人の演奏を聴くとか、今の生活パターンをカッと変えて頑張るくらいしてなんらかの”きっかけ”をつかみ、今までの自分をガラーッと変えるくらいに頑張る気持ちから、上達へのスタートがきられるんじゃないですかね。このくらいの意気があれば、個人差こそあれ、上達すること間違いナシです。

 これは、始めのほうに書いた、上級初心者の志にも共通している点が多くあります。直接教えられなくても、先輩の仕草を見て学ぼうとする無心の貪欲さ、また、実践経験を積むということは、最も厳しい現場に身をおいて自らを鍛え、自分に必要な要素を、濃い密度で”体得して”いくことです。これは、上級者への近道そのものではないですか!

 ここでひとつ伝えておくべき注意点があります。それは”逃げてラクしない”ことです。すごく頑張って、時折休むことは大事なことです。しかし、休むのとは別に、頑張るべきときに楽な道を選んでしまうと、ある敵が増えてしまいます。それは”甘さ”です。厄介なことに、この敵は、自分の中にできてしまいます。楽な味を覚えてしまったら、1回だけではきかず、この先何度も頑張りきれなくなって、中途半端に終わるのです。音楽やスポーツは上限がなく、目標がなければどこまで頑張りつづけりゃいいのか、という面があるのも確かです。しかし、先程書いた”困難なことにあえて立ち向かっていく気持ち”があること、あえてツラく厳しい道を選ぶ姿勢がなければ自分なりに一流にはなれません。成し遂げたいことに対する”真摯”な気持ち、心構えが自分をキリッと引き締め、充実させていけるのだと思います。どんなことも、厳しさを知ってレベルアップするということです。技術力が向上することだけでは本当の意味でのレベルアップではないと思います。”精神力”も一流にレベルアップすることがもう一つの目標です。

 いまの若い人といわれる方々は、核心だけを楽に、合理的につかもうとする傾向があるような気がします(個人的見解ですが)。ですが、それでは核心をつかめないのです。それは、大事なものは大事なところだけにあるのではなく(いつもながらわけのわからない井上流言い回しですが)、結構、無駄だったこととか、ダメだったこと、キツくいわれたことや大失敗してしまったことなどの、できる自分になる前の過程でのあらゆる”経験”、しかも自分が実際にパワー使って得た経験が自分の力になっている思いませんか?「あ、ここでこうしたらあんなんなってダメになる」とか、演奏会の本番でも「あーこままじゃ次の音ハズすなあーー」という感覚がくるとやっぱ十中八九ハズしてしまいますよね。そんな経験ありません?それって、その本人にしかわからない感覚じゃないですか。そういう、自分だけの感覚を持っているのはイイコトなんですよ。少なくとも自分なりの努力が感じられます。そんな笑い話って、面白いんですよね。人はコツをつかんでしまえば、わりかしなんでもできるものですから、むしろ大事なのは”失敗”の部類です。自分が頑張って体得した経験重視案です。核心たる大切な要素が”身につく”こと、”自分のモノ”になって使いこなせること(自分の言葉で
表現できること)が大切なんで、それは同時に上達の証でもあるといえましょう。

 とはいえ、上達過程は言葉で言い表せるようなものではなく、書くように事が順調に運ぶことがありませんので、まずは自分なりにすごく頑張ってみることです。周りにお手本となる先輩がいれば、詰まったときに臆さず聞いてみましょう!僕だけでなく、みんな、純粋に頑張っている人が好きだから、きっと気持ちよく助けてくれるハズです。応援したり、応援されたりする信頼関係ができれば、ますますGoodest!